そのため、まずは本館にある靴箱で上靴に履き替える私たち。

半年以上もこの生活を続ければ慣れたものだ。



その後は少し歩き、食堂のすぐそばにある一階の渡り廊下か、二階にある連絡通路を通って東館に向かうのだけれど───


「あっ、|郁(いく)くんだ。
おはよう!」

「今日は郁くん、遅いんだね!」


その前にふたりの女の子に囲まれている男の人がふと視線に入った。


そこは二年生の靴箱がある付近で。



「……あっ、真由いたよ」
「華蓮ちゃん?」

いきなり私が立ち止まったからだろう、明らかに真由は戸惑っていて。


けれどこの人だと思ったのだ。


“落ち着いていて、優しい人”

まさに真由の好きなタイプと一致する人物が、今視界に映っているのだ。