「だから甘い声出されるとその口塞ぎたくなるし、泣きつかれると突き放したくなる。
たまたま久本さんは、俺が女を突き放してるところを見たんだろうね」
「……あっ」
まさにその通りだ。
きっと真由はその場面を目にしたのだろう。
「本気にされても困るのにね。俺はただ、父親の肩代わりをさせられているだけなのに」
まだ光原先輩は私のことを何も知らないはずなのに。
私だって彼のことを何も知らないのに。
私に本音を言って大丈夫なのだろうか。
私も今この場にいていいのだろうか。
ふと彼が真剣なトーンに変わるものだから戸惑ってしまう。
「ごめんね、行こうか。
今なら校舎内に残ってる人、少ないだろうし」
「あ、はい…」
ただ光原先輩は全部話すことなく、私たちは保健室を後にした。



