「あ、そろそろ家帰りますね…」
何となくマイナスに捉えた私は、ゆっくりと起き上がってベッドから降りようとしたけれど。
「無理してるように見える?」
上靴を履こうとした私の背後で、光原先輩も起き上がった気がした。
「……何となくそう思っただけです」
光原先輩の事情なんて、私にはわからない。
けれど私自身、無理して平気なフリをしているからだろうか。
彼と同じものを感じたのだ。
「甘ったるい声、苦手なんだ」
「……はい?」
思わず振り向かずにはいられない。
突然話が大きく変わったように思えたからだ。
「それから泣き声も。
いちいち耳に障る」
光原先輩は使用していた毛布やシーツ、枕を整えていた。
ただその表情に笑みはなく、何か考え込んでいるようにも思える。



