別に起こすほどの用はないため、ただ彼を眺める。
本当に不思議な縁。
あの昼休みの時間に、私が間違えて彼が横になっているベッドに侵入しなければ、これから先も光原先輩との関わりなんて一切なかったというのに。
「……帰ろう」
それでも今ならまだ、この関わるようになったきっかけをなかったことにできる。
眠っている光原先輩を見て、ふと冷静になった自分がいた。
誰かに弱さを見せてしまえば、きっと今まで我慢できていたことが我慢できなくなってしまうんじゃないか。
それが怖いのだ。
だから私はこの場を去ろうと思い、光原先輩に背を向けたのだけれど───
「ここまできて帰られるのは悲しいな」
背後から聞こえた突然の声に、思わず足が止まってしまった。



