今夜、キミを独り占め。




「おっ、君は確か…」
「笹野です」

「そうそう笹野。ちょうど良かった、あいつが『まだかまだか』うるさくて」

「えっ…」


“あいつ”が誰を指すかだなんて、聞かなくてもわかっているけれど。

彼が『まだか』とうるさくしている姿なんて想像できない。


「俺、今から文化祭のことで会議あるから。
特別に保健室貸し出してやるよ」


まだ状況を把握する前に、金城先生は職員室へと目指して歩き出してしまう。


「まっ…」


急いで呼び止めようとしたけれど、その時にはすでに遅くて。

開けられた保健室のドアの前で、私はひとり取り残されてしまった。