「おっ、君は確か…」
「笹野です」
「そうそう笹野。ちょうど良かった、あいつが『まだかまだか』うるさくて」
「えっ…」
“あいつ”が誰を指すかだなんて、聞かなくてもわかっているけれど。
彼が『まだか』とうるさくしている姿なんて想像できない。
「俺、今から文化祭のことで会議あるから。
特別に保健室貸し出してやるよ」
まだ状況を把握する前に、金城先生は職員室へと目指して歩き出してしまう。
「まっ…」
急いで呼び止めようとしたけれど、その時にはすでに遅くて。
開けられた保健室のドアの前で、私はひとり取り残されてしまった。



