「大丈夫、甘えることは怖いことじゃないよ」
「……っ、今はそれよりも真由のことを」

「こんなにも他人に興味を抱いたのは初めてだよ」
「あの、光原せんぱ…」

「今日の放課後、保健室に来て。
多分俺はそこで寝てるだろうから」


目立たないからいいだろうと話す光原先輩は終始笑顔で、その上余裕ありげに見えて。

まるで私がそこへ行くと決まっているみたいだ。


「待ってください、私は……」
「君の弱さを知ってるのは俺だけだよ」

「……っ」


去り際にそう吐いた光原先輩は本当にずるい人だと思った。


確かに彼の言った通り、私の本心を知っているのは光原先輩だけで。

また心が大きく揺らぐ中、光原先輩はスーパーボールすくいだけして教室を後にした。