「真由の件はどうするんですか」

真由が怖がる理由を知れないまま帰られても困ると思った私は、話を戻すことにした。


「でも彼女に危害を加えたわけじゃないよ?多分、たまたま俺と年上の女が話しているところを見たんだろうね。

確かあの時、彼女のような子と目が合った気もするし…」

「あやふやですね」
「基本、他人に興味ないからね」


光原先輩を知れば知るほど、謎が深まるのは気のせいだろうか。


「あっ、でも笹野さんには興味あるよ」
「……私は大丈夫です」

「ねぇ、どうして拒否するの?
あの屋上に行った日だって最初は甘えてくれたのに」

「きっと夢ですねそれは」


今ここで言う必要がないというのに、どうしてわざわざ持ち出してくるのだ。

あの日一瞬でも光原先輩に甘えた自分を恨みたい。