すると後ろから足音がして、

「つか、何処行くんだよ」
と声がした。

振り返るとエイジだった。

「何?」
今更なんなの?
「何ってそっちこそ。ガン無視かよ」

「新しい彼女出来たんでしょ。じゃあ、いいじゃん。元カノからガン無視されたって関係ないじゃん」
あームカつく。話しかけて来ないでよ。こっちは忘れようとしてんのに。
「あの子はただのクラスメイト」

「え?クラスメイト?」

「てか、俺たちいつ別れたの?」

「はひ?昨日、言ったよね。エイジから別れようって」


「あんなのプレイじゃん」

「プレイ?」

「play」
こういう時だけハーフっぽさをふざけて出すの止めてよね。

「こっちはマジでムカついてるんだから」

「分かった。自由が欲しいってマリィ言ったよね」

「言ったよ」

「俺反省したよ、もっとマリィを自由にしてあげる」

「うん?」


「第一ボタンだけ外していいよ?」


ほんと何いってんのこの男。

そんなんで自由って自由度狭過ぎでしょ。
そんなんで満足する女いる?

普通は満足しない。


あ、でも私って、普通じゃなかったんだっけ。
軽い女に降格したんだった。

「あ、ありがとう」

一応、礼を言った。
ここは反論するべきなんだけど、惚れた弱みか強く言い返せない。
そんな私を見てエイジはくすっと笑った。
「マリィって変わってるよね」

「え、私が?」

「最初から変わった子がいるって見てたけど、付き合ったらやっぱり変わってた」

「私のどこが?」

「俺とずっと一緒にいるし」

「エイジが殺すって言うからでしょ。適当にルーレットで決めといてさ」

「ルーレット? てか適当じゃないって。マリィだけは」

「ルーレットじゃないの?」

「だから何のルーレット?」
ああもう、話が長くなりそう。
時計を見たらもう授業が始まっていた。
「やばい。授業始まってるから行かなきゃ」
エイジ何かほっといて、バイバイと音楽室へ行こうとした。