そんな出来事から、約10年。

「羽花ーー?今日翔ちゃんと学校行くんでしょ?早くしなさーーい!」

『分かってるーー!』

お母さんの言葉に焦りながら、新品のストレートアイロンで肩までの髪を若干内巻きに巻く。

今日は高校の入学式。
大好きな翔ちゃんを追い掛けて、県内有数の進学校に進学した。

翔ちゃんはイケメンで、運動神経が良くて、オマケに頭も良い。
もう、受験勉強なんて死ぬ気で頑張った…
本当にすごいよ、私(自画自賛)

綺麗に髪が巻けたところで、うっすらとメイクをしてみる。

私の目指すは、翔ちゃんのか、彼女!
翔ちゃんに似合うような女になりたい!

「羽花ーー?まだ?」

『ごめん!今行くー!』

翔ちゃんの声。
急いで制服を着て、下に降りる。

『お待たせ!翔ちゃん!』

「あ!二つ結びやめたの?大人っぽい」

そうなのだ、私は中学まで下の方でツインテールをしていたが、大人の女性を目指すべく、思い切って髪を肩までのボブにしたのだ!

『ありがとう!』

「もう羽花のアンテナ見れないのか〜」

翔ちゃんは私のツインテールをアンテナって呼んでるんだよね。

『翔ちゃんこそ、髪の毛カッコよくなってる!』

「ん?あぁ、毎日セット面倒くさいけどな〜」

『えぇ!じゃあ何でその髪型にしてんの!?』

何でわざわざ面倒くさい髪型をするのか。
意味が分からない

「えぇ、まぁ…高校生だし?w」

意味不明な返事。
ジーッと翔ちゃんを見る。

あ、耳たぶ触ってる。
これは翔ちゃんが嘘をついた時の癖。

『翔ちゃん、何か隠して…』

「翔ーー!おはよう!」

背後から女の子の声。
しかも名前呼び!?
バッと後ろを振り返ると…

巻いた髪を耳の高さでツインテールにしている、色白で小さい女の子。

「ん?あれ、苺。おはよー」

「あ!例の羽花ちゃん?わぁ!可愛い!!」

え…誰?