久しぶりのタワマン。

ドキドキしながら、社長の部屋の番号を押す。


「はーい?どちらさま?」


この声、、、

婚約者の宮さん。

もう、一緒に暮らしてるってこと?

駄目だ。

無理だ。


私はバレないよう、一言も発せずにその場を離れた。


結婚式までは一週間。

同棲を始めてたっておかしくはない。

一人舞い上がり、火照った身体が急激に引いていった。

ふわふわ飛んだ世界から、ひきちぎられる勢いで戻される。


なに、、、やってんだろ。

伝えてフラれるにしても、部屋に押し掛けるなんて、非常識すぎた。


「はは、、、バカすぎ。」

独り言は落ちた涙と共に、アスファルトへと吸い込まれる。


今日で終わりにしよう。

いい加減、この想いから脱出しよう。

自分で自分を苦しめるのは今日が最後。