しばらくそこから動けなかった。

真実を伝えることが出来ない。

それが原因で社長との信頼も、近づいた距離も、天と地ほどの差が開いた。

私のせい。

だけど、そんなドス黒い感情なんて口にするのもおこがましい。

そもそも社長は私に対して特別な想いなど、初めから持ってないんだから。

自分の気持ちを押し付けて、困らせることだけはしたくない。

だから、仕方のないこと。


社長が置いていった空気は氷のように冷たくて、耐え難い淋しさに襲われた。


「ごめんなさい、、、」


一人きりの部屋に、謝罪の言葉は埋もれていった。