潰せるだけの時間を潰して、マンションに着いたのはもう昼過ぎだった。

部屋の前に行くと、ドアに凭れかかってるのは、、、


「、、、社長?!」


私の声にピクリと反応して顔をあげる。

どよーん。

っていう効果音と、ドロドロした黒い影がまとわりついてるように見えた。


「言いたいことは山ほどあるが、とりあえず中に入れろ。」

聞いたことのない位、沈んだ低音ボイス。

返す言葉も見つからず、無言のまま鍵を開けた。


忘れていたわけではないが、部屋の中は空っぽだ。

身の回りの物しかない。


「あの、社長、私の部屋なにもないのでご飯なら外でお願いします」

「いらん。約束を破ったのはなんでだ?」

「、、、すみません。個人的な事情です。」

「言えよ。」

「それは、、、っ。」


言えるわけない。

女の人と一緒にいたから、、、なんて。