社長は私を抱きしめて、背中をさすってくれた。

直に聞こえる社長の心臓の音。

早くて乱れて、それが何を意味してるのか、本気で心配してくれたんだ。

「ごめん。ちゃんと守るって言ったのに、怖い思いさせた。」

「そんなことないです。社長、ちゃんと来てくれたもの。」

「あ、ごめん、、、」

抱きしめていた身体をサッと離した。

「社長?」

「いや、何でもない。それより、咄嗟に名前呼んでしまった。あれはまずかったかもな。」

「え?名前、、、ですか?」

「気づいてないのか?まあ、今更か。部屋も知ってるってことは、素性は調査済みだろうけどな。」

「何者なんでしょうか、、、」

「うーん、、、あらかた検討はついてるが、今一つ確証は得てない。」

「すみません。私が引き留めなければ、、、」

「いや、お前は悪くない。」

「でも、、、犯人捕まえられたかもしれなかったのに。」