秘書として慌ただしい日常にもなれた頃、突然その時は訪れた。


一通りの業務を終えて、翌日のスケジュールを確認していた私。


「佐野さん、社長がお呼びです。」

顔を上げた私と視線が合うと、社長室へ促すように手を流した。

「はい、すぐに。」

「あと、そのまま退社で構いませんので。」

「わかりました。お疲れ様でした。」






ドクン、ドクン、、、

とうるさいくらいの鼓動が喉をかいくぐって今にも口から出そうな程だ。


呑み込む唾も重く震える。


この緊張はなんなのか、その先にある答えが分かるからかもしれない。