寺川の様子がおかしい。

パッと見はいつもと変わらない。

だが、俺には分かる。

これは間違いなく何かあった。
しかも良いことだ。


ストレートに聞いて答えるだろうか。

いや、何もないと平然と言うに決まってる。

ならば、、、


「寺川、今夜少し付き合え。」

スケジュール確認する口を止め、怪訝そうに視線をあげた。

「社長?どうかされましたか?」

「たまにはいいだろ。」

「、、、すみません。先約があります故。」

「ふーん。そうか。」

「、、、、そんな目で見ないで下さい、社長」


はあー、と最大限のため息をわざとらしく落とし、バツが悪そうに口を開けた。


「今、訳あって同居人がおりまして。あまり遅くなると、迷惑をかけてしまいますから。」


珍しいこともあるもんだ。