ただ、やたらと早い鼓動だけはどうか気付かないで、、、そう思ってギュッと目を閉じた。

なぜ、閉じたんだろう

それが肯定とみなされたのか、初めからそのつもりだったのかは分からない。

けど、そっと、確かめるように軽く触れた唇。

漏れた吐息が熱い。

ごく一瞬の戯れなのに、そこから伝わる熱に頭から指先までピリピリと痺れた。


「楓さん、、すみません。こんなことするつもりなかったのに。今のは忘れて下さい」


余韻に浸る暇もなく発せられた謝罪と、己の行動の後悔。

告白めいた台詞をぶつけてきたくせに、、、


ちょっと触れるだけのキスをしただけで?

するつもりなかったって?


どうして、目を閉じたんだろう

閉じなければしなかった?

今の私には、何も言えず口ごもるしか手札はなかった。