走ってきたのが見て取れる。

ネクタイはゆるんで、ジャケットは握りしめられ、大粒の汗が散りばめられていた。


「ど、どうしたんですか?!」

「行かないで下さい。どこにも、、、ここに、いてください」

「え?あのー、、、」

「佐野さん、私と一緒に暮らしませんか?」

「、、、、えー?!と、突然、なにを、、?」


寺川さんが、私を?

一緒に暮らすって、、、なに?

どういうこと???


「ずっとそばで見てきました。社長を選ぶなら、この気持ちはしまったままにしようと、、、。けど、あなたはそうはしなかった。健気にも、他人の幸せばかりを望む。だったら、私があなたを幸せにしたい。そう、思いました。」


「寺川さん、、、一旦落ち着きませんか?」

「落ち着いてます。だから、今日まで待ってたんです。一緒に暮らすのがダメなら、せめて一番近くであなたを想いたい。いけませんか?」