「彼女は、竹内璃子。
昨日誠次と婚約した。
彼女は…………俺の従姉妹なんだ。
信じれないかもしれないけど………
二人が出会ったことは偶然で…………引き合わせた訳ではないんだ。
俺が、夏苗ちゃんにウソをついたのは
……………旅行の事。
もう気づいていると思うんだけど…………
チケットをもらったと言うのは、ウソなんだ。
婚約する二人の姿を
近くで見せたくなかったんだ。
哀しみを押さえて
無理に「おめでとう」を言わせたくないと思って………。
結果は………
バレて傷つけて、ムリさせて………
おまけに泣くことさえ、我慢させることになってしまった。
…………………………本当に、ごめん。
俺、いつの間にか
誠次や璃子よりも、君の事が大切になってたんだ。
二人の幸せを願わないといけないのに
別れたら、夏苗ちゃんにもチャンスがあるのにって考えてた。
だから、二人の姿を見ないで済むよう………
旅行を計画した。
お兄ちゃんとして、側にいて欲しいと望むなら。
守ってやろうと思ったんだ。
誠次の代わりでも何でもいい。
傷つかないように、何でもしようと決めた。
けど………
結果は一番、傷つけた。
………………………本当にごめん。」