夏苗ちゃんの家が近くなると

楽しかった時間よりも、騙した事が心苦しくなってくる。

「春人さん、ありがとうございました。
ゆっくり休んで下さいね。」

笑顔の夏苗ちゃんの後ろに

一番見たくない顔ぶれが視界に入った。

………………悪いことは…………出来ないな。

お兄ちゃんでもいいから

側に居ようと思っていたのに…………。

誓いを立てて数時間で、終わりそうだ。

降りようと、ドアに手をかける夏苗ちゃんの腕を引いて

車にひき止める。

「危ないなぁ~」

文句を言いながら、振り向いた彼女の目にも

四人の姿が映ったようだ。

俺の顔を見て、全てを理解した彼女は

さっきまで見せていた女の子の顔を隠して

優等生の夏苗ちゃんに戻った。