「ご無沙汰しています。
夏苗ちゃん、こんにちは。」

彼の挨拶に、両手を差し出して喜ぶ彼女の父親。

隣の彼は、日本でも指折りの企業なだけに

納得もいく。

彼の方は、気まぐれに挨拶しているが…………

周りを見渡すと

『自分達も!』と色めきだっている大人達だらけだ。

夏苗ちゃんの父親は

自分が一歩リードしている事で、さらにご機嫌だ。

「こちらは、大手学習塾を経営されている山本様。
彼は、医者のたまごで………
竹内春人といいます。
お家は、代々続く大病院で………
父達も、ずっとお世話になっている病院の息子さんです。
年齢に差はあるものの
なぜだかウマが合い、友人を名乗らせてもらってます。
宜しくお願いします。」

「竹内です。
まだまだ若輩者ですが……宜しくお願いいたします。」

彼に倣って挨拶すると

「ご友人まで紹介して頂き……………。
勿体ない思いです。
これはウチの娘で…………夏苗と申します。
今年、中学生になりました。
夏苗…………ご挨拶をして。」

父親に促されるまま

「初めまして。
山本夏苗と申します。
どうぞ宜しくお願いいたします。」と頭を下げた。