亨に連絡すると

「また面倒事か?」と飽きられたが………。

自殺の恐れもあるから急げと伝えると

直ぐに学校を飛び出してくれた。





あれから一時間。

未だ、誰からも連絡がない。

誠次じゃないが………

悪い想像が頭を掠めた時。

店はとっくに閉まっているブティックの軒先で

佇む制服姿の女の子がいた。

後ろ姿でも、夏苗ちゃんだと確信が持てた。

直ぐ近くの駐車場に車を停めて、傘を持って歩いて迎えに行く。

途中、亨と誠次に連絡してご両親にも伝えてもらう。

近づいて気がついたのだが…………

ブティックだと思っていた店は

ウェディングを扱うお店で。

ガラス越しに見えたのは、ウェディングドレスだった…………。

誠次との未来を思っていたはずの姿。

これを着て、誠次の隣に立つことしか考えてなかっただろう。

ある日突然。

何の前触れもなく、目の前から消えた夢。

悲しく

訳もわからず…………

ただただ、泣きたいはずだ。

…………………………………だったら、泣けばいい。

泣いても、喚いても………

結論は変わらない。

それでも、少しでもスッキリ出来るのなら………

俺は幾らでもつきあう。

ただ、雨に濡れるのだけは守るけど………。