亨や後藤君、たかにさんざんからかわれ

いい加減嫌気がさした所で………

長かったゴールデンウイークも終わり

新しい仕事場に、出勤することになった。

高校生と違い、小学生のお嬢様はホントに可愛い。

天使がいっぱい、学校内を歩いてる。

かなも、こんな感じだったよなぁ。

懐かしく思いながら見ていたら…………

窓の外に人影が……………

って、見なくてもかなだと分かる。

ガラッと窓を開けて

「何してる!」と怖い声を出せば………

「お昼を一緒に食べたいな。」と可愛い答えが。

淋しかった4ヶ月を、かななりに埋めているんだろうと思うと

ついつい愛しさが募って………

「ちゃんと玄関から、入って来いよ。
先生達に逢ったら、挨拶すること。」と

親父のような注意をしつつ、入る許可を出す。

「お邪魔しま~す!」

応接セットに腰かけて

俺がお茶を用意するのを、待っている。

今日の弁当は、三色そぼろご飯と

サケや唐揚げ、ポテトサラダにハンバーグと…………

かなの大好きなメニューばかりだ。

小さい頃から、お母さんが忙しいこともあり。

お手伝いさんの作ったご飯を、食べていた。

「メニューは、いつも豪華だったけど………
私の好きなメニューではないの。
普通の家の子は、お母さんがその子の好きな食べ物を作るでしょ?
それが羨ましかった。
今は、多岐さんが毎日「何が食べたいですか?」って聞いて
リクエストに答えてくれるのが、嬉しいんだ。
多岐さんのハンバーグは、世界一だよ!」

美味しそうに頬張る彼女は………

ホントに幸せそうだ。