「…………………お邪魔します。」

スッカリ遅くなってしまい。

多岐さんに迷惑がかかるから……明日来るとごねていた。

どうせ俺が帰ったら、起きてくるから一緒だと説得して

無理矢理連れてきた。

せっかくの週末、土曜の今日は誠次の所で潰れた。

明日の朝、早く来ると言っても……………

多岐さんに遠慮して、10時を過ぎないと来ないから

夕方まで、ホンの数時間しか一緒にいられない。

来週は、模試があるから来られないと言っていたし………

どうしても伝えたいことがあるから……

強引に来させた。




「多岐さん、ごめんなさい。」

恐縮するかなの、慎ましやかな姿が可愛いと

多岐さんは、目を細めている。

「夜だから、紅茶にしますね。」

ミルクたっぷりの紅茶を用意すると

「私が起きてると、夏苗様が遠慮なさるので………
先に休ませて頂きますね。
カップをキッチンにお願いします。」と言って

サッサと、部屋に帰って行った。

まだ高校生の彼女なので

もちろん多岐さんが色々と世話を焼いてくれる。

それでも婚約してからは、任せる時間を作ってくれている。

いずれは、奥さんだからと。

ウチは、両親は兄夫婦と同居だし

俺は、男兄弟の3番目だから…………

病院も結婚も、自由がきく。

おまけに、兄貴達は一回りも上だから。

親も高齢で、ある意味親の役目は殆ど多岐さんがしてくれた。