2013年4月29日朝、オレの自宅に警視庁渋谷署の交通課の捜査員4人が訪問していた。山村刑事「森崎瀧くんだね、昨日の件で既に分かっていると思うけど」瀧「逮捕状の件ですか、それは取り下げになったんじゃあ!」佐藤刑事「警察はそんなに甘くないよ、自分のしたことだもんな、きちんと責任取ろうな」姉の亜衣が起きてきた。亜衣「瀧くん、なにその人たち」佐藤刑事「渋谷警察交通課の佐藤です!」亜衣「ちょっと瀧くん何したの」オレは着替えを済ませ、亜衣「どういうこと、何の罪なの?家族よ説明して?」山村刑事「分かった!警察側のあらすじを説明しよう」山村刑事によると、4月1日夜11時頃、渋谷駅前の交差点で暴走族を追跡中、最後尾のバイク(通称、ケツモチ)に追跡を妨害されたうえパトカーを蹴ったという事件、佐藤刑事「あなたの弟さんはつまり道交法第68条の共同危険行為及び刑法95条の公務執行妨害の被疑者ということだ、そのことで弟さんにお話しを聞きたい」山村刑事「渋谷署まで来てもらいたい」亜衣「ちょっと、いくら警察でも、強制は出来ないはずよね!任意よね」佐藤刑事「森崎瀧くん、君に訂正された逮捕状が出ている」山村刑事は逮捕状を読み上げた。佐藤刑事「この場で執行はしない、まず署に来てもらう」亜衣「そんな、逮捕って!瀧くん」オレは思わず、瀧「いつオレ、手錠かけられるんですか?」佐藤刑事「逮捕状は車内で執行する」瀧が逮捕状を山村刑事に提示してもらい確認していた。瀧「何も抜けはない!これじゃあ!」オレはもう逮捕から逃れられないと観念した、オレはここで深呼吸して、瀧「ここで執行して下さい!絶対です」亜衣「ちょっと何言ってるの、その場で逮捕されちゃうよ!」佐藤刑事「そうだ、玄関からパトカーまで君は衆人環視の中、手錠姿を晒すことになる」山村刑事「森崎くん、君はまだ17、人前で恥を晒す必要なんかない、共同危険行為は成人でも2年以下の懲役又は50万円以下の罰金の微罪なんだ!公務執行妨害は蹴りが当たっておらず比較的軽微な事案で今回は立件しないから」と任意同行に応じるよう説得されたが拒否すると数分の押し問答が続いた。瀧「こんなの納得できないもん!令状出した裁判官なんでワザワザ訂正してまで出すのおかしい」警察官「君の話は逮捕後にきちんと聞くから?」瀧「逮捕に納得できない!」と強気で反論していた、山村刑事「この場で執行するよ、いいか?」瀧「オレ、何もやましいことない、だから恥ずかしくない」佐藤刑事「よし、この場で執行しよう」。瀧「きつくしないで、オレ初めてだから」佐藤刑事「大丈夫!」山村刑事「この時間、午前8時20分、道交法違反で通常逮捕するからね」佐藤刑事がオレの両手に手錠を掛け続いて腰縄を付けられた。オレは両手を拘束され手錠の感触もあってか思わず、瀧「え!待ってよ!」と声を出していた。佐藤刑事「自分の犯した罪を償いなさい!」と諭された。山村刑事「君は逮捕されたんだから、待てないよ」佐藤刑事「痛くない?」瀧「大丈夫です」それを見た亜衣が動揺しながら春香に電話していた。瀧「マジで手錠だこの感触、オレ逮捕されたんだ」瀧「オレ、母さんに怒られるな、はぁ!高校退学かな」佐藤刑事「瀧くん、君には黙秘権と弁護士を呼ぶ権利があるから」瀧「知ってます」オレは憮然とした表情をしていた。山村刑事「分かった!じっくり話聞かせてもらうでな」亜衣「コラァ、人に見られてもきにするな!悪くないんなら」瀧「うん!姉貴」こうしてオレは17歳にして人生初の手錠を掛けられた。オレはそのまま、連行されていった。
車内、オレは拘束されたまま刑事2人に挟まれ座っていた。瀧「この逮捕おかしい!オレ未成年の高校生だって!逃げないって!少年事件の逮捕は重大事件だけでしょ、そう犯罪捜査規範208条に書いてあるやん!違反逮捕だって」佐藤刑事「少年事件での逮捕勾留は出来るだけ慎重にとあるだけで、例え微罪であっても君の事件は共犯者がいる疑いがある、彼らが未検挙である以上、証拠隠滅の恐れがある、それにこの罪は成人なら初犯は罰金だが未成年では少年院に行くことも予想される、そうなれば逃走の可能性だってあるだろ!落ち着いて」瀧「ちょっと怖かった、今の自分の立場であまり言えないよね」山村刑事「逮捕に動揺してるわけじゃないな」佐藤刑事「多分、逮捕理由に納得できないということか」オレはなんとか強がってたけど、怖くなっていた。佐藤刑事「森崎くん!あんな運転続けてたらホント死んでまうぞ、事故する前に捕まったんだから良かったな」瀧「確かに!1度交差点で青信号のクルマとぶつかりそうになったし、今思うと怖い!オレって他車に迷惑掛けてたんだ」佐藤刑事「この後、オレ取り調べですか?」佐藤刑事「厳しく取り調べるから」オレはこの時、逮捕で3日間と勾留で最長20日間、観護措置で最長28日間の計50日間は拘束される可能性があると思ったら大変なことになってしまったと後悔していた。
昼過ぎ、春香と港が帰宅。私は動揺し両親に状況を説明した、港「亜衣ちょっとは冷静になれ、瀧はまだ被疑者の段階なんだ!殺人や強盗ならともかく、共同危険行為ごときの微罪で騒ぐな?」と普段温厚な父が声を荒げていた、春香「そうよ、まだ人様を傷つけて無いだけ良かったわ」亜衣「うん!弟が手錠かけられるとこ見た時はこたえた」港「まぁ!従兄弟の裕太も逮捕歴あるしな」港「手錠にそんなにインパクトないよ!」、渋谷警察署では瀧が取り調べを受けていた。瀧「腰縄外してください!」佐藤刑事「森崎くん、意外に強気ね!普通、初めて逮捕されて手錠掛けられるとみんな動揺しているのが一般的なんだけど、君は違う。手錠かけられた時も、平然としていた」瀧「で!何ですか?何が言いたいんですか?」佐藤刑事「君は、今まで逮捕歴はないが、なにか犯罪慣れしているんじゃないかと私は思っているんだ!まぁ刑事の勘だがね、普段はマジメな超優等生だが、そんな生活じゃストレスで大変だろ!魔が差して先輩のバイクであのような運転をしてしまったんじゃないのかね!」瀧「おれは!」攻めの取り調べだった、山村刑事「佐藤、やめないか?」山村刑事「うちの後輩が申し訳ない!」瀧「オレ帰りたい」瀧「きちんと出頭するから!」佐藤刑事「何言ってんだ!君は逮捕されてるんだ、もっと早く出頭していれば良かったが」瀧「オレ、ホントに逮捕されるなんて思ってなかった!」木村警部「それだけ世の中は厳しいのだよ、まぁ!保護観察で済めば出れるからしばらくは中で反省しなさい」瀧「はぁ!自分の行為の責任だから」佐藤刑事「瀧くん、まずは身の上話でもしようや」佐藤刑事がオレの生い立ちや故郷についていろいろ質問してきた。佐藤刑事「森崎くんって長崎の伊勢早から引っ越してきたんですね?」瀧「オレの地元バカにしないで、伊勢早じゃなくて諫早だって、いさはや」とオレは語気を強めた。佐藤刑事「いや!知らなくてつい!諫早か」瀧「長崎人なめるな!オレに手錠かけて調子に乗るなって、オレの方がアタマいいから」山村刑事「佐藤気をつけろ!ったく」佐藤刑事「すみません!時間あったのに勉強不足でした」その他何故か預貯金がいくらあるかや趣味などについてもいろいろ聞かれた、午後4時過ぎに取り調べが終わり、オレは手錠腰縄を付けられた。瀧「留置場に入るのは仕方ないけど、なんでわざわざ手錠と縄で拘束するの、オレ嫌だって!逃げないって!外して」佐藤刑事「森崎くん、これが現実」瀧「犯罪捜査規範208条でやむを得ず逮捕連行時は方法について慎重にとあるやん!オレほんと屈辱感あるんだ、手首ちょっと圧迫されてるし」瀧「未成年だから手錠なんかしないと思ったんだ!軽微な事件だし」山村刑事「逮捕とはそういうものなんだ量刑や年齢は関係ないよ、向こう着いたらすぐ外すから!」オレは留置施設へ連行された。この時点でオレはかなりテンパっていた、犯罪とは無縁のオレが逮捕され留置場に入れられる現実に理解出来ていなかった。山村刑事「それにしてもあの子、手錠と腰縄への拒否反応がかなりありますね!」佐藤刑事「悪いことをしたからこうなったんだということをあまり意識してないのか?それとも」木村警部「社会的地位のある人ほど拘束されると精神的ダメージが大きいからな!しかしあの少年、いろいろ法律知識ありますね!」佐藤刑事「無知な犯罪者より数倍タチが悪いですよね!まぁ!17歳十分更生はできるでしょうが、それにしても犯罪と被疑者のギャップが大きすぎてこっちも変になりそう」山村刑事「確かにイケメンでアタマが良く、彼女がいて、気が強くてしっかり意見を言う」山村刑事「まったく!今の子は何考えてるか理解出来ないこと多すぎますな」翌日朝、山村刑事「今日は」瀧「送検でしょ」山村刑事「そうだ、取り調べは今日は無し、明日頼むよ」昼過ぎ、都内千代田区内の病院、港に日下部検事から連絡が入った。港「なぁ!瀧が送検されただと」日下部検事「瀧の事件はオレの管轄外だけど!お前の友人として、いろいろやってみる!交通部のやつらに任せられるか」港「頼む!すまないな」、日下部検事「瀧、絶対助けてやる!」港「瀧、まさか送検されるとは!」昼食を済ませ、瀧「飯の時も手錠のままかよ、裕太さんから聞いてたけど、さすがに気持ち的にくるな、けどオレは」瀧の検事調べが始まった。瀧「違います。その日運転したけど、そんな運転はしていない」大山検事「でもね!警察の証拠映像で上がってきてるんだよ」瀧「妨害運転しました!」その時、日下部検事「瀧、気に食わなかったら黙秘権を行使だ」瀧「日下部のおじさん」大山検事「待て!なんで公安の日下部が来るんだ?管轄外だ、いくら公安検事でもこんなことは」杉山歩美「弁護士の杉山です。今日からあなたの弁護を担当させていただきます」杉山「私、去年までここの特捜の主任検事やってたから、ウデは心配しないで?」瀧「え!東京地検特捜部の主任検事って」瀧「オレの弁護ありがと!」杉山「今日夜面会よろしくね」杉山「あと大山くん、せいぜい頑張ってね」、日下部検事「瀧、not guilty」大山検事「クソ!公安が」大山検事「森崎くん、渋谷署の取り調べもほとんど進んでないし、捜査も全然、一緒に走行していた被疑者も未検挙のままでは、どこかで証拠隠滅する恐れが高いので、明日まであなたを拘束し、裁判所に勾留10日の請求をします」瀧「少なくとも10日は帰れないことですよね!知ってます!」大山検事「その通り、ほんとはね!未成年の子供を留置場に10日以上も入れるのは、かわいそうなんだよ!いくら検事でもさ、道交法の微罪でさ、でもね、固くらに否認して、手錠かけられても平然としたとこ見せられると、留置場でしばらくアタマを冷やしてもらうのが君にとっては適切だと私は判断した!あと否認するのは権利で保障されてるからこちらからは何も言わないが、自白すると楽になるぞ!検事として満期までに君を落としてみせる」その日の夜、杉山が面会へやってきた。瀧「杉山さん」杉山「瀧くん、体調はどう」瀧「別に普通だけど、出前たのんだり、トイレも看守からまる見えでちょっとは恥ずかしいけど、慣れれば普通だし!」杉山「留置場から出るとき、手錠腰縄するの精神的にこたえるって初犯の人はみんな言うからさ!」瀧「オレは、もう気にしなくなったな、別に開き直ってるわけじゃないけど」杉山「そう!良かった?」杉山は瀧から事件についていろいろ聞いていた。
翌日、オレは東京簡裁に連れてかれ、裁判所は10日間の勾留決定を下した。つまり10日間は帰れないということだった、勾留されるのは予想できていたがヤバイ状況になったと実感した。
夕方、瀧は1時間ほど取り調べを受けた。オレは危険な運転をしていたと認めた。佐藤刑事「あの少年自白しましたね」山村刑事「そうだな!検事調べで認めたからな」港と春香、亜衣が面会にやってきた。20分ほどで終えて、杉山「弁護人の杉山です、日下部の知り合いのもので」港「いえ、瀧の弁護頼みます!」杉山との面会を終えて、瀧は同房者に話しかけられた。瀧が自分の容疑について話すと、男「そうか!そりゃあ10日間の勾留受けるわな、否認事件はみんなそうなんだ。俺は強盗事件やってしまってな、今回で3回目やな、あとこのまま否認してたら、いくら共同危険行為でも年少行きになるぞ、そうなれば勾留があと20日くらい、家裁での審判での観護措置による勾留が約1ヶ月、初犯であっても不合理に否認していた少年が審判で長期勧告12ヶ月から15ヶ月の決定を受けた事例があったな」瀧「オレ」男「少年審判では保釈制度がないからこそ、最悪1年以上1度も自宅に帰れないこともある、暴走族の子たちはそんなコト知らない奴がほとんどだろ!」男「素直に認めれば、保護観察で済むかもしれない、まぁ家庭環境、両親によるがな」瀧「オレの両親、医者です」男「なら!認めれば保護観察であと1ヶ月、いや試験観察で在宅審判でもっと早いかもしれない、じっくりよく考えて決めなさい?」港の自宅、港「瀧、一応元気そうだったけど、心配だな」亜衣「大丈夫よ!瀧、バカだから」港「勾留10日はきついな」翌日、朝から取り調べ、オレは拘束されたまま部屋へ、山村刑事「瀧くん、手錠してるけどだいぶ落ち着いてるね」瀧「うん!両手を拘束されて繋がれてすごい屈辱だけど、悪いことした結果だと思うと納得するしかないよね!」瀧「よし一部は否認しよう、リスクはあるけど!事実と違うことは絶対に認めたくない」運転した事実は認めたが、共同危険行為の共謀は無いと否認した。佐藤刑事「いや、勝手に暴走行為に参加していてもケツモチという役割がある以上は積極的ではないにしろ、暗黙の了解という消極的だが、共謀は成立する、認めないと年少行きになるぞ、森崎くん、なぜなんだ?あの時、パトカーで追尾していたのは私と山村さん、私には先頭グループと連携しているように感じたんだよ」瀧「オレは止まろうと思ったけど怒鳴られて怖くなって、アタマ混乱しちゃって」山村刑事「そりゃあ!暴走族の最後尾に割り込みぁ、警察からしたら仲間と判断されて当然だろ!それなりに厳しい対応せざる得ないのは分かるよな」木村警部「君が暴走族のメンバーでないのは捜査で判明しているが、あのような妨害運転は危険極まりないものである」山村刑事「なぜ!ナンバープレートを見えないように跳ね上げていたんだ?まるっきり暴走族じゃないか!」瀧「オレはそんなことしてない!乗るときはナンバーきちんとしてた、その時、友達と電話してた、その時にナンバーに細工されたのかも!パトカー振り切ってナンバー見たら跳ね上げられてた」佐藤刑事「なるほど!普通なら荒唐無稽な言い逃れと見てまうが」山村刑事「一応、出来るだけ裏付けとってみよう?」佐藤刑事「捜査を進めていて君がケツモチだと判明した時、絶対間違いだと思ったんだ!」瀧「だからオレの逮捕まで時間がかかったのか?」佐藤刑事「できれば君に手錠掛けたく無かった!書類送検で済ませたかった、早目に出頭してくれれば本当は署で事情聞くだけも視野にいれてた」瀧「言い訳かもしれないけど、オレこう見えても発達障害あるんだ、周りは天才だって煽るだけで本当はダメなとこいっぱいあるんだ、自分のことだからよく分かる、あの日、普通の人なら自分が暴走族の最後尾を走ってたなら、止まればいいのに、補導されてもいいから止まればよかったのに?」瀧「パトカーに追跡されてパニックになったなんて!」山村刑事「ちょっと同情してまうな、好きでなってるわけじゃない」佐藤刑事「森崎くん、如何なる事情があるにせよ君の運転は共同危険行為に当たる可能性が高い」山村刑事「それに君は本件の前に昨年5月に道交法の最高速度違反のプラス35キロ超過で赤切符を交付され、東京家裁から審判不開始の処分を受け、再び違反を繰り返し2度目の免停明けに本件事件を起こした」瀧「2月25日に短縮講習受けて、3月28日免停解除」山村刑事「わかっていると思うが、共同危険行為は25点と飲酒運転並みに厳しい」瀧「免許取り消し?」山村刑事「違反点数33点、免許取得不適格期間4年分かるな!」瀧「はい!」佐藤刑事「さっき認めなければ年少行きになるぞと言ったが、否認事件なら1年半から2年以内の長期収容はあり得る」瀧「オレのせいです!自分と向き合いたい!」この時点でヤケクソになっていた。午後3時に取り調べが終わり、佐藤刑事「瀧くん、面会だ!お前さんの叔父だって」瀧が面会室に入ると裕太がいた、瀧「裕太おじさん!」裕太「オレも若い頃、逮捕されたことあるから大丈夫だ」瀧「叔父さん、逮捕っていきなりだった、オレいつ出られるか気になる?」裕太「オレもワッパかけられた時、まずはじめにそう思った、オレと罪名同じだな」瀧「裕太さん!有名な族のリーダーやってたと父さんから聞いたよ、出所後に公道レーサーで関東エリアを制覇したとか!すごい伝説になってる」裕太「昔の話さ!」瀧「おじさんは逮捕からどのぐらいで出れたの?」裕太「オレは家庭でもいろいろあって結局少年院に行って、逮捕から1年だったな、でも初犯じゃないよしかも余罪あったし」瀧「年少か?刑事にも言われてるから覚悟してるけど」翌日以降取り調べが続き、瀧は危険な運転の事実は認めつつ、共同危険行為の共謀は否定している。
5月8日、山村刑事「あの子、今も否認に変わりないが!最初に比べてスッキリした顔つきになったな」佐藤刑事「確かに」佐藤刑事「全面自供しなければ、否認事件に変わりない、長期収容は避けられないのにもはや覚悟しているな、初犯であそこまでできるものなのか?現役の族の被疑者でも年少にビビる奴がほとんどなんだが」春香「瀧くん、スピード違反で処分受けてた」港「あぁ!最近だしな、審判不開始で済んでたけど、今回も交通事件で同種」日下部検事「同種の事件となれば審判でもよくて長期の一般保護観察は避けられないな」亜衣「瀧くん、そんな」亜衣「父さん!どうすれば」亜衣は明らかに動揺していた。港「亜衣、騒ぐな!落ち着けや!保護観ですみゃあどうにでもなる」瀧「佐藤刑事って最近ヘコんでない?なんか見てると気持ちがブルーに見える?」佐藤刑事「いろいろあってさ!刑事になったのはいいけど失敗もちょこちょこあって自信なくしてるの事実!」瀧「手錠腰縄付けるのセンスあるやん!少なくとも留置管理課のお巡りより全然いい!」佐藤刑事「変なこと言うなって!」瀧「オレを捕まえたんだから自信持ちなよ」佐藤刑事「そうだな」5月11日、午前9時過ぎ、東京簡裁は10日間の勾留延長を認めた。弁護人の杉山は直ちに準抗告の手続きを取った。夕方、東京高裁は弁護側の準抗告の一部を認め、勾留期間を4日に短縮した。夜、杉山「勾留は4日になった、これは珍しいことです!捜査側にとっては大きなプレッシャーになるはずです」港「ありがとな」港は現金60万円を渡した。
13日夕方、佐藤刑事「被疑者の裏付けが取れたました、山村さん」日向の自宅付近の防犯カメラに瀧が電話中に不審な男が曲がったナンバープレートに交換しているとこが撮影されていた。山村「気付かないものなのか?検証してみるか?ちょうど同じバイク持ってるし」夜、瀧のバイト先では、事件当日の夜、瀧がバイクに乗る直前、日向がバイクのナンバープレートを跳ねあげていたことと某宗教団体のステッカーを旗に貼り付けていたのを清水の友人が目撃していたことで清水や永井が詰め寄っていた。永井「どういうこと?秀樹?」清水「お前、瀧に何?仕掛けた!」日向「アイツがオレのバイクでマック買いに行って、暴走族とパトカーの間に入って、警察に追われて逃げて捕まっただけ、バカなんだよただ勉強できるだけ、全国模試3位とか笑えるぜ!」清水「そう仕向けたんだろ!」日向「な!わけねぇだろ!」清水「あるね!お前瀧に舞取られてずっと根に持ってただろ」永井「私は瀧くんのこと好きだからその前から秀樹にはうんざりしてたのもあった、だから秀樹を振ったの」日向「アイツが悪いんだ!恋敵め!でも何かをすれば俺が捕まってしまうだからあんな手口しかなかった、どうせ瀧のことだ警察に追われればパニックを起こして危険走行、違反を繰り返すのは分かってた。ナンバーを曲げたのは、警察を刺激する目的もあった」永井「逮捕させるために!そんなコトしたなんて、最低ね!」清水「渋谷警察に説明してこい!自分が騙してやらせたってな」日向「オレが逮捕される。ワッパなんてマジ勘弁、退学やんオレ」永井「ビビり、ほんと昔からアンタそうなんだから!」日向「瀧みたいに長期間、拘束されるなんて気持ち的に無理だって!お前らにオレの気持ちなんか分からない!」日向はドアを乱暴に閉めて立ち去った。
永井「別れて正解だったあんなオトコ」その頃、山村、佐藤は同型の車種で実証実験を行い佐藤は全く気づかなかった。15日午前、永井と清水、店長が面会に訪れた。オレは3人に謝罪した。 椎葉「気にするな、お前が悪いわけじゃない、あの程度で共同危険行為って言われるとオレは100回逮捕されてるぜ」永井「瀧くん、待ってる」清水「日向のことは任せろ!昨日叱っておいた」帰り道、清水「店長って逮捕歴あるんですか?昔かなりのワルだってウワサで聞いた!」椎葉「逮捕はない!ただ今回の件はおかしい、あれで逮捕なら、俺は100回は豚バコ行ってる、多分、ナンバープレートの跳ね上げが原因だろうな、挑発行為と受け取られたんだろ」清水「瀧、元気そうででしたね!」椎葉「瀧は精神強いな!さすがアイツのガキだ」、渋谷警察署、佐藤刑事「君の裏付けが取れた!どうやらはめられた可能性があるな、しかし妨害運転をしたのは事実、きちんと反省しなさい」瀧「はい!」この日、日向はバイトに出勤しなかった。
大山検事「4日間だけか!さすが特捜の負けなしヤメ検め、あなどれんな」事務官「どうします?釈放して在宅に切り替えますかね?」大山検事「ダメだ、共犯者が検挙されていないこの状況では証拠隠滅の恐れがある。すぐ家裁に送致するすぐに観護措置請求の手続きに入る」翌日午前、瀧はまず東京地検に連れてかれた。大山検事「今日で最後だな!一部自供してくれたな、どうだ気持ちは?」瀧「前より良くなった!」大山検事「そうか!家裁へは保護観察処分相当の意見書出しておくから、それに被疑罪名を道交法68条の共同正犯から幇助に落として家裁送致しておくから、審判終わるまでの辛抱だ、釈放後が君の第2の人生だ、期待してる」どうやらオレは暴走族メンバーと接点がなく騙されて犯行現場に臨場して逃走するために本件犯行に至り暴走行為が目的では無かったが結果的に捜査を妨害したことが暴走行為を幇助していたと判断されたのだった、東京家裁へ連れて行かれた。裁判官はオレの非行事実を読み上げて認否について聞かれた。瀧「間違いないです!」裁判官は観護措置決定と少年審判を開くことをオレに告げた。
瀧「オレ、審判受けるの?」裁判官「君は去年5月に速度違反で審判を受けない決定をもらってるね!2回目である以上、今回はきちんと処分を受けてもらいます、27日に君の審判を開くことにします!」 瀧「審判に出るから家に帰りたい、だから取り消して下さい」裁判官「ダメです!これも償いのひとつです、さっきも言った通り君は東京少年鑑別所に入ってもらうことにします」瀧「鑑別所嫌だって」罪名落ちもあってかもしかしたら帰れるかもと期待していたのでショックだった!裁判官「落ち着きなさい!なにも君を少年院に入れようとしてるわけじゃない!保護観察処分にしても保護司にあらかじめ君のことをいろいろ把握してもらった方が君への指導、教育がスムーズに行くこと考慮すると君を鑑別所に入れていろいろ調査する必要がある」瀧「うん!」裁判官「君を鑑別所に入れるもうひとつの理由として、捜査段階で逮捕拘束されている場合、逃走や審判への不出廷の恐れがあると判断されている、逃走等防止のために鑑別所に収容する目的もある」瀧「オレ逃げないって」裁判官「確かに弁護士からそのような申し立てもありました」裁判官「私としては、成績優秀で犯罪の動機があり得ない君が何故今回事件を起こしたのかどうしても原因を突き止める必要がある。それに君には決定言い渡しまで鑑別所においてしっかり自分を見つめなおして反省してもらうのが相当と思っています」瀧「やっぱり、世の中厳しいな!」その時、オレをここまで護送してきた留置管理課の警察官がオレに、警官「森崎くんここでお別れだけど鑑別所でも頑張りなさい」入れ替わる形で鑑別所の法務教官が審判廷に入ってきた。瀧「うわぁ!鑑別所の人だ」オレは自分が鑑別所に入れられる現実を意識してか不安げで顔色が悪くなった、そんなオレに教官は優しい言葉を掛けてくれた、教官「森崎くん、大丈夫!落ち着いて鑑別所怖くないから」瀧「うん!オレしっかり反省したい」オレは拘束されクルマは練馬区の東京少年鑑別所に向かっていた。オレは半泣き状態だった。鑑別所での生活が1ヶ月近く続く事と入所時の身体検査が全裸で絶対鑑別所行きは避けたかったからだ、信号で止まる度にオレは逃げ出そうと思ったが両手は手錠で拘束され腰には縄をつけられ両隣には教官が座っている状態では逃げようがないと諦めるしか無かった、今のオレには覚悟を決めるしかないと思い泣くのを堪えていた。瀧「鑑別所だ!」オレはこの時、逮捕の半年前、日光からの帰り道に練馬の少年鑑別所の前を親父の運転で通りかかった時のコトを思い出した。港「瀧、未成年でも悪いコトしたらここに入れられて自由も制限される、大変だぞ!マジメに生きるのが一番なんだ、ここに入ってる子たちは犯罪者なんだ!少年犯罪者なんて落ちこぼればかりだよ」瀧「優秀なオレは落ちこぼれのバカなんて相手にしないよ!オレには関係ないよ」と答えたの覚えていたそれを思い出してこれからオレはそこに入れられると実感すると惨めで悲しくなった、そうこうしているうちに鑑別所に到着した。
オレは少年鑑別所で全裸検査を受けた。マジで屈辱でその日は泣いていた。その日の夜、瀧「オレ、しっかり反省しないと」単独室で泣いているオレを教官が付きっ切りで慰めてくれたのが心強かった。東京地検は瀧について保護観察処分相当の意見書を提出したが。日下部検事「なるほど!想定内の意見書だ」翌日、東京地検は不処分相当との意見書に差し替えた。
鑑別所生活2日目、オレは現実を受け入れ落ち着きを取り戻していた、読書をしたり勉強をして過ごしていた、運動はグラウンドみたいな広場があるが全面が塀に囲まれていた。瀧「オレ、悪いことして捕まってるって」鑑別所内の移動では手錠腰縄をしないが塀を見ると実感してしまう、翌日夕方にオレは単独室から雑居室に移動となった。既に2人が収容されていた。オレは2人に挨拶。田中史浩15歳でこの春中学卒業後に無職で恐喝、鈴木貴文も田中と同学年で無職で連続空き巣事件を起こしていた。2人の話によると事件後、捜査段階で逮捕されずに書類送検後の家裁の審判を無断欠席し、友人の自宅に隠れていたところを家裁の協力を受けていた警察に発見されて鑑別所に収容されたというものだった。鑑別所に行くか行かないかのイニシアチブはほとんど警察が握っていると思ったと同時にオレはこの2人に対し、せっかく逮捕されずに済んだのに無断欠席した行為に腹が立っていた、オレはきちんと審判に出席する意思があったのに逮捕されたこと、2人の罪名がオレの事件より法定刑が5倍以上も重いのに逮捕すらしない警察の対応に不満も感じていた。しかしオレが逮捕されたことや事件の経緯を話すと2人は審判から逃げたことを後悔していた、そして2人が勉強が苦手で高校に進学できなかった事情を知ったオレは2人に対し嫌悪感が薄れていた。オレの審判が迫るなか24日夕方、2人の両親と付添人の弁護士がきちんと審判に出席させる、そしてきちんと仕事や高校に行くために勉強し真面目に生活するという誓約書を家裁に提出したことにより2人は試験観察という扱いで翌日の釈放が決まった。翌日午前、オレは2人に自分の携帯電話番号をメモにして密かに渡した。田中「森崎先輩ありがと」鈴木「森崎先輩、審判頑張って」オレは高校も行かない仕事もしない挙句に人様の物を奪うような人間のクズは最も毛嫌いしていたが、鑑別所の生活で世話になったこと高校に行けない事情もあってか更生の手伝いができるなら協力しようという心境になっていた。2人は鑑別所を去っていった。
27日第1回少年審判の日、両親と杉山弁護士、担任の教諭が出席した。オレは審判で非行事実を認めた。杉山弁護士もグループとの面識もなく共謀が成立しない以上共同危険行為は不成立であるが幇助罪の成立の可能性は認めた上で保護観察処分が相当と主張した。担任の先生も校長の了解を得た上でオレを復学させる方針であると陳述してくれた。審判が終わりオレは審判廷に残り、両親は出るように促された、春香「瀧くん、もう少しの辛抱よ」瀧「オレ頑張るから!」両親が審判廷を出ると、オレは鑑別所の職員に再び拘束され、教官「さぁ!戻ろう!」瀧「うん!」オレは鑑別所に戻った。オレは法務教官のカウンセリングを受けていた。瀧「今日の審判、オレ緊張してた!オレ昔からいろいろ問題起こしてたけど、こんなことになるんなんてオレってダメなのかな?」教官「大丈夫、立ち直れるから」瀧「オレ、免許取って1年足らずで免停受けてて!それでも違反繰り返して2回目の免停明けにすぐ今回の暴走事件起こしちゃった、免許取り消しが嫌で逃げまくって結局オレを待つ受けてたのは逮捕だったよ、逮捕なんか他人事だと思ってたからショックだったオレ成績良くてアタマいいからと思ってたけど本当はバカなんだよ気づいたよ」教官は黙って免許証を見せてくれた。ゴールド免許だった、教官「森崎くん、オレはペーパードライバーだから、なんの自慢にもならない!」夕方、中村「あの付添人の弁護士何考えてる?逆に重い処分を要求するなんて!」しかし裁判官は杉山の主張の意味を理解し、保護観察処分か不処分かで答えに迷っていた。しかし決定言い渡しは6月5日と決まった。5月29日、日下部検事は地検交通部と渋谷署の捜査漏れを見つけ上司に報告した。瀧の道交法違反事件の担当は地検交通部に公安部が加わった、大山検事「合同ってことか」公安部は独自捜査の過程で宗教団体が瀧運転のバイクの所有者に関係していたことが判明したからとしている。5月31日、公安部は観護措置の必要性は無いとする意見書を家裁に提出した。同時に杉山も観護措置決定に対する異議申し立ても行っていたが取り下げた。
午後、東京家裁の調査官中村恵美は地検公安部の日下部検事から意見書について事情を聞いた。中村「なるほどね!交通部のシナリオでは森崎くんが積極的でないにしろ、手助けするという犯意があったと認定しているけど、公安部のシナリオではバイクの所有者は二輪免許を持ってないから、免許のある森崎くんを騙して某宗教団体のステッカーを添付したバイクを運転したものである!また彼女になりすました女性に犯行現場に誘導されており故意性はなく彼の道交法違反の犯意は極めて弱く利用されただけの従属的以下で悪質性は低いが、昨年5月に道交法違反の速度違反で家裁送致されており、同種の交通犯罪である本件犯行に短期間に及んだ責任は看過できない、しかし逮捕勾留により身柄拘束を受け少年院送致処分を受ける覚悟を示すなど、真摯な反省がうかがえる」中村「なるほどね」日下部検事はバイクに貼ってあった某宗教団体のステッカーを提出した。日下部検事「一言、言っておく。公安は家裁より上だとオレはそのくらい公安に誇りを持っている」夜、瀧「井上さん」井上「森崎、オレはさ昔から落ちこぼれでな、だけどお前は違う、無実を晴らして成功者になれよ、2度とオレと会うことはない」6月1日午前、裁判官は中村を呼び出した。裁判官は瀧の保護処分について、不処分ではなく保護観察処分とする方針を決定したことを明かした。私は驚いていた、鑑別所の意見書は不処分相当、地検の意見書でも不処分相当、調査官である私が出した意見書も不処分相当だったからだ、誰がどう見ても今回の事件は恋敵によってはめられ、不幸にも警察の前に運悪く飛び出してしまいいきなり怒鳴られ追跡されれば誰であってもあのような状況に追い込まれてもおかしく事件だった、それでいきなり保護処分を科すのは余りにも理不尽だったからだ。
6月3日午後、亜衣は日下部検事のクルマで練馬の少年鑑別所に向かっていた、亜衣「日下部さん、わざわざ有給使って私や瀧くんのためにありがと」日下部検事「気にするな!亜衣の大事な弟さん、審判が終われば出れるからそれからが本当のスタートになる!彼に厳しく教育してやってくれ」亜衣「瀧くん、18とは思えないような精神年齢でいろいろ大変だけど!あの子、いい子でしっかりしてるとこある」少年鑑別所に到着した。受付を済ませ面会、瀧「姉貴!オレ」亜衣「瀧くん、元気そうね!鑑別所での暮らしで不満はない?」瀧「外に出れないしスマホもない生活、でもこうなったのは悪いことしたからしょうがないと思ってるけど、運動の時間もあるし、読書や勉強、カウンセリングや相談もしっかりやってくれる、特に不満はないけど、今冷静に自分と向き合えたと思ってる」日下部検事「瀧、大丈夫だ、共同危険行為の幇助が不成立なら交通反則行為で不処分もあり得る、お前は1ヶ月以上自由を奪われ十分反省できてる」日下部「保護観察処分でも重すぎると感じてしまう」その日の夜、日下部検事は港に報告した。港「ありがとな!」6月5日朝、オレは呼び出され荷物をまとめるように指示された。瀧「これって、そのまま家裁から少年院かも!」瀧は手錠腰縄でクルマに乗り込む、職員「悪いね!外出時は付けるのが決まりだから」瀧「別に、悪いことした自分が悪いので仕方ないです」家裁へ移送された。待合室で拘束を解かれ、裁判官が入室、その後にオレが入廷、母も父も緊張しているのが表情から明らかだった、裁判官は今日決定を言い渡すことを告げた。
オレは緊張のあまりソワソワしていた。中村「森崎くん、落ち着いて!」裁判官は言い渡し前にオレに鑑別所での生活や逮捕後の心境を質問していた。裁判官「何か?言いたいことがあれば自由に発言してください」オレは安易な行動で警察の捜査を妨げたこと、周囲に迷惑をかけたことを謝罪し今後二度と過ちを犯さないように責任を持って生活していきたいと語った。
裁判官は共同危険行為の幇助の成立を認定しオレに2年程度の保護観察処分を言い渡した。春香「良かった」港「よく耐えたな」瀧「オレ、帰れる!」 日下部検事「良かった!さすが瀧」オレは涙が出ていた。準初犯の暴走行為の幇助罪で長期の保護観察処分は極めて厳しい処分であった年齢的に逆送もあり得たが検察官送致したところで不起訴処分にすると地検交通部が方針決定していたため事実上少年院送致の次に重い処分が下されたことになるがオレは嬉しかった、専門家の援助が無ければ立ち直る自信が無かったからだ、瀧「オレ、泣いちゃった」こうしてオレの36日間の勾留生活は終わりを迎えた。裁判官は決定理由で共同危険行為の共謀について相手との事前謀議が無く暴走族のケツモチという役割を積極的に果たしていないとし共同危険行為等禁止違反の共同正犯の成立は否定したが妨害運転によって警察の捜査を妨害し結果的に暴走行為を助長していたとし本罪の幇助罪は成立すると判断した、妨害運転そのものは陥れられた上に警察に勘違いを受け検挙を恐れてパニックになり行ったものだが、過去に速度違反で検挙され、家裁にて審判不開始の処分を受けているが速度違反は一般的な違反行為であり程度も35キロ超過と悪質性は低いものである、本来なら不処分相当だが、少年審判は刑事裁判のように罪の重さで処分を決めるのではなく少年の更生に最適な処分を決めるべきとの付添人の主張には正当性があり、森崎少年の性格や考え方の問題は根深く本件事件までに違反を繰り返し交通法規を軽視するなど非行性が低いとはいえず、また発達障害を罹患しており根本的に改善するには専門家の指導や通院治療が相当長期間必要であるとの結論に至ったと判断されたのだった。