8月9日、聴聞会当日を迎えた。母のクルマで江東区の運転免許試験場に向かった。
瀧「また!母さんと行くのかよ」春香「何か?言った?瀧くん」瀧「いや!別に!」春香「バカ港と行くと、瀧くん付け上がるだけでしょ!まだまだ子供なんだから!」瀧「また子供扱いされてる」試験場に到着。免許停止対象者と免許取り消し対象者は分けられることをこの時知った。取り消し対象者の中に50歳くらいの暗い雰囲気のうつむき加減の男性がふと気になったというより帰り道にでも自殺するんじゃないかと思い心配になり声をかけた。
瀧「すみません!いきなり失礼ですが?取り消し対象の方ですか?」男性は落ち着いた様子でことの経緯を語り出した。男性は49歳で妻子持ちのトラック運転手だった、5ヶ月前のある日、夜中の首都高速道路を走行中、自転車で違法進入した男性を跳ねてしまい死亡させてしまったと語った。瀧「あの現場って、あんな見通し悪いとこで追突したってそんなので前方不注意とかあり得ないし、避けられない事故やん!逮捕されてないの当たり前やん」オレは余りにも理不尽な事故に言葉を失ったと同時にこの運転手の免許が無くなれば仕事を失い家庭が崩壊するのは容易に想像できた。オレは男性の話を聞いていて自分が起こした犯罪行為や罪から逃れようとウソをついていた自分にバカらしくなったと同時にオレって本当のバカなんだと思った。いつのまにかオレは涙が出ていた。オレは男性にいつのまにかアドバイスをしていた。男性はオレに礼を言っていた。瀧「なんでだよ!オレおかしいんだよ、あの人はゴールド免許でオレは2回も免停受けてこんな事件やってバカなんだよ」と大声で叫んでいた。周りの痛い視線などどうでもよかった、オレはその場で免許証を投げ捨てた、警察官「ちょっと君、そんなコトしたらダメでしょ!免許証拾いなさい?まだ取り消しと決まったわけじゃない」瀧「オレ、軽減受ける資格ないから!処分執行しといてよ!」と叫んで走って外に出て、東陽町駅から電車に乗り自宅に帰ってぼーとしていた。瀧「オレ、何聴聞会にいったんだ、そんな資格無いのに!」何時間経っただろうか?母さんが帰ってきた、母は何も言わずにオレを抱きしめた。春香「瀧くん、あれで良かったよ!」と一言、母の話によると、取り消し対象者50名のうち処分が軽減されたのはオレと49歳のトラック運転手だけだったと聞いた。運転手は点数15点の1年の欠格期間が免許停止30日に短縮、もちろんオレは取り消しになったけど、それでも欠格期間4年が2年に短縮されていた、母はオレに運転免許取消処分書を渡した、書類には平成25年8月9日から2年間を免許を受けることができない期間として指定します、と書いてあった。
春香「瀧くん、自分を悪くしないで、トラック運転手の人、瀧くんのアドバイスが無かったら取り消しだって、その後担当の警察官が私に言ってきた」春香「でも!会場で叫ぶのはよくない!私恥ずかしかったんだから、みんなびっくりしてた」瀧「ごめん!ガキみたいなことして」夕方6時過ぎ、保護司が訪ねてきた、3人で雑談を交えながら、保護司「6月の最初の面会よりだいぶよくなってる!」