『さよなら、雪。』

:皇。


ー これは不思議な雪女と出会った時の話だ。


-12月10日

ジリリリリリリリ

(あぁ……もう朝か…ねむ…。)

アラームを止め、のそのそ と起き上がる。優しく明るい太陽と冷たい空気が混ざり合って なんだか、現実離れしたような景色が窓の外に広がっていた。

(そういや、昨日大雪だったっけ。今日も確か吹雪になるんじゃなかったっけ…?)

1年前に両親をなくし、一人暮らしで
今は週五でバイトへ行きながら 祖父からの少しの生活費で なんとかしている。

『そういえば…夢で雪が降るのを見たな…。実際降ってるから正夢か。笑』
なんて思いながら毛布から出て服を着替え、パンを口に突っ込み、髪の毛を軽くセットして、外へ出かけた。
今日は大切な日なのだ。今日は両親が亡くなって、約1年半…ぐらいたった頃なのだ。だから雪の中でもお墓参りに行かなければ行けないのだ。
着いてみると、お墓は雪で覆われていて 手で払ってやっとだった。20秒程 手を合わせて、『また来るな』と呟いて 家に帰った。
今日の夜は何にしようかな、と晩御飯を考えながら歩いていると、いきなり違う場所に来たかのように、吹雪が降り出した。一瞬吹き飛ばされそうなぐらいだった。
よく見えなかったが、前に人影があり、『大丈夫ですかー!』と大きい声で叫ぶとその影はやがて目の前まで走ってきた。同じ歳ぐらいの白髪ロングの女の子だった。何故か、白っぽい浴衣を着ていたけれど『こんな雪の中話せないしなぁ…』と思っていると その白髪の少女は 目を輝かせながら こう言った、
『あの…!あなたのおうちにお邪魔してもいいですか?!』 と。