「柚葉?」
友達の声にも足を止めずに柚葉は歩く。
今朝、柚葉に声をかけた友達の竹石夏子が柚葉の後を追いかける。
「あっ!!」
柚葉がバランスを崩して転んでしまい夏子は慌てて手を差し出した。
「大丈夫?」
夏子の声に気づき永遠が慌てて駆け寄ってきた。
「柚葉!?」
永遠は慌てたように夏子の手を払い柚葉の上半身を支えて立ち上がらせた。
「どこか痛むか?」
永遠が柚葉の顔を覗き込むと柚葉は大粒の涙を流し表情を崩して泣いていた。
「どこだ?けがしたとこか?どこが痛い?」
永遠が慌てて柚葉にけががないか、どこか悪化していないか聞こうとする。
それでも柚葉は首を振るだけで何も答えられないくらい泣いていた。
こんなに泣いている柚葉を見るのは初めてだった永遠は「とりあえず場所移動しよう」と柚葉を保健室へ連れて行こうとした。