柚葉は待合室で医師からもらったエコー写真をじっと見ていた。
「うれしいな」
永遠が柚葉に話しかけても柚葉は浮かない顔をしている。
「体調悪い?」
永遠の言葉に柚葉は悲しそうな顔をした。
「どうした?」
永遠が柚葉の背中に手をまわすと柚葉の瞳から涙があふれた。
「?」
柚葉の涙の理由が分からず永遠が戸惑っていると柚葉は永遠が持っていたノートとペンを手にした。


『耳が聞こえないのがくやしい』
永遠はその文字を見て柚葉を抱きしめた。

柚葉は心臓の音を感じることができない。
赤ちゃんの産声も聞くことができない。