院長は永遠の状況をよく知ってくれていた。
「院長の奥さんは？体調大丈夫なんですか？」
「葵か？大丈夫だ。今はまた安定してる。少し前は不安定だったけどな」
「院長は、奥さんのこと溺愛してますね」
院長の妻は永遠の勤める病院に入院していることが多い。
院長は食事の時間になると妻の病室に向かい一緒に食事をとったり、休憩中は必ず妻の隣にいる。
そんな二人のことを病院に勤める職員は微笑ましく見ていた。
「まぁな」
普段はぶっきらぼうな院長が、妻の話になると耳まで赤くしたり、素直な表情になるのを見て、永遠は自分も同じように柚葉を支えたいと思っていた。

「休みの間、ご迷惑をおかけします」
永遠が頭を下げると院長は微笑みながら
「勤め始めてからかなり頑張ったからな、ご褒美だと思って、ゆっくり休め。」
と肩をたたき医局を出て行った。