「それで・・・」
医師がカルテを見ながら一瞬言葉を止める。
永遠が少し緊張して医師を見ると医師はカルテから顔を上げて永遠に話し始めた。
「お子さんは考えていますか?」
「・・・いつかは・・・今すぐにとは考えていません。」
「そうですか。」
「難しいですか?」
永遠の言葉に医師は真剣な表情になる。
「脳に腫瘍があるときに使用していた治療薬に不妊につながる薬を使用していました。使用をやめてから2年がたとうとしていますが、どの程度影響が残っているかはわかりません。また、出産は健康な女性にとっても体力的にとても負担がかかります。出産後も身体機能の回復には時間がかかる。」
「彼女の体力を考えてあきらめたほうがいいと?」
「いいえ。結婚をして子供を産むことが女性にとっての幸せと考えているかたが多いです。その中で制限することはできません。ただ、子供ができるか保証がないということと、何らかのリスクが伴うことを心に置いて、お子さんのことは考えてください。」