永遠の父は優しく微笑みながら話を聞いている。
「そんな俺が壊れずに済んだのは柚葉が俺を隣にいさせてくれたからなんです。」
いつも自分の腕に触れて歩いていた柚葉の横顔を思い出す。
右耳が聞こえなくなっても柚葉は前向きだった。難しいことも心配する永遠をよそに挑戦していた。友達も多くて理解されていた。簡単なことなんて何一つなかったのに、柚葉は乗り越えていった。
「彼女の隣で俺は励まされて、守られて、前に進めてたんです。だからこそ、俺はちゃんと自分が進みたい道を両親に話して、医者になれた。彼女が事故の後も俺を支えてくれていたんです。彼女が支えてくれてばかりだった。だから、彼女を守れる男になりたかったんです。」
「・・・」
「大学に通っているときも俺は彼女の存在があったから頑張れました。」
柚葉を守れる存在になりたかった。その想いが永遠の心を強くした。