「柚葉も一口でもいいから食べないと。」
永遠がスーツに着替えてリビングに戻ると柚葉の母が着替えを済ませた柚葉の口にご飯を運んでいるところだった。
「食べないんですか?」
「毎朝こうなのよ。薬もあるから少しは食べないと。」
永遠は柚葉の横にしゃがんだ。
そして柚葉の母からスプーンを預かると柚葉の口元にご飯を運ぶ。
「柚葉。食べよう?」
柚葉は一度は固く口を閉じる。それでも優しく微笑みながら柚葉の口があくのを待っている永遠にゆっくりと口を開いた。
「えらい!」
永遠は柚葉に満面の笑顔を向ける。
永遠が口元へ運ぶと柚葉はその後も数口、食べることができた。
「明日からはもう少し早く起きて柚葉の食事、俺が付き合ってもいいですか?」
「でも、大変じゃない?」
「いえ。もし寝坊したらその時はお願いします。」
永遠の笑顔に柚葉の母も笑顔になった。