「医者の仕事はそう甘くはない。体力的にも精神的にも大変だ。そんな自分の状況でも、柚葉ちゃんの前で笑っていられるか?冷静に対応できるか?今の彼女にとって近くにいる人の対応次第では彼女の心は壊れる可能性がある。そんな責任のある役を望むなら相当の覚悟が必要だぞ?」
永遠の父は真剣な顔で永遠を見つめる。永遠の返事次第では永遠の考えを受け入れないような厳しさもその視線には込められていた。
「俺、この前自分はまだまだだと思ったんだ。」
永遠は父をまっすぐに見ている。
「父さんの柚葉の体温を上げるための判断や指示はかなり的確で早かった。迷いがないのに正しい判断ができる。俺は焦るばかりで言われたことをやるだけだった。」
「当然だ。父さんの方が医者としての経験は多い。」
「悔しかった。今の俺にはまだ彼女を守りきるための力がたりない。医者としての知識も経験も足りない。だからこそ頑張りたいと思えた。」
「医者として頑張りながら、柚葉ちゃんを支える力が今のお前にあるのか?」
永遠の父の質問に永遠は首を横に振った。