「現在の不安定な状況で記憶を無理に回復させようとしたり、感情的にかかわるのは柚葉さんにとっては状況を悪化させる可能性があり非常に危険です。支える方の心の安定と一貫したかかわりが徐々に安定につながるかもしれません。脳外科から出ている薬には興奮を抑える作用もありますから、どうしてもパニックが収まらないときは同じ薬を服薬してください。」
精神科の医師の言葉に柚葉の両親は永遠の父の言う通り精神的な不安定からくる症状と、脳腫瘍の後遺症、両方を柚葉が抱えていることに気が付いた。
それでも絶望の中にいた柚葉の両親にとってはどのように今後娘と生きればよいかの道しるべのように感じた。


検査結果も聞いた永遠と柚葉の両親は眠る柚葉の病室へ向かった。
目覚めたら帰宅していいといわれている。