「今娘にとって難しいことは一生難しいままなのでしょうか。」
柚葉の父が願うような気持で質問をする。
「訓練すれば今難しいことが理解できたり、理解しにくいことを自身で回避したり、理解するためのすべを身に着けることもできますよ。」
その言葉に柚葉の父は再びほっとしたようだった。

そして永遠の父の知り合いの精神科の医師の話に移る。
「娘さんの今日一日の検査を受けられる様子を見ていて、精神科として娘さんはかなりの精神的にショックな状況と身体的な機能低下の状態が重なり、不安定な状況であると判断しました。今まであった、突然泣いたり、突然叫んだり、家を時間に関係なく出てしまうこと、話せていた言葉を発せられないことには精神的状況が関係していると思われます。」
「どうしたらよいのでしょうか」
「カウンセリングも現在は不安定の原因になりかねないため、身近な人の支えが今は一番の薬です。好きなものを食べたり、好きな音楽を聴いたり、好きな場所へ行ったり、好きな人のそばにいたり。」
精神科の医師は微笑みながら永遠を見た。