君の隣でみる夢

「事故のことは避けられなかった運命だと思ってるんだ。でも、17歳の娘が脳腫瘍と言われてこのまま手術をしなければあと3年生きられるかわからないって言われたんだ。突然。あの時の絶望感は今でも思い出すだけで手が震えるよ。」
柚葉も柚葉の両親も自分が離れていた時間にたくさんの絶望や、苦悩を乗り越えてきたのだと思うと永遠は心が痛んだ。

「そんな娘が生きていられることに感謝しているのに、人間は欲深いな。娘にもう一度笑ってほしい。娘に自分たちよりも長く生きてほしい。娘に当たり前の幸せをつかんでほしいんだ。結婚して子供を産んで・・・」
そこで柚葉の父は言葉に詰まった。
「永遠君。」
「はい」
永遠がまっすぐに柚葉の父を見る。
「娘のことで君に迷惑ばかりかけてしまって本当にすまないと思ってる。」
「いえ。」
「でもわがままと無理を承知であの子を見捨てないでほしい。君の力を貸してほしいんだ。頼む。あの子のそばにいてほしい。あの子が君の重荷になってしまうことはわかってる。」