その声の方を見るとそこには柚葉の母が慌てて駆け寄ってきた。
「柚葉っ!!」
柚葉の母は地面に座る柚葉の手をつかむ。
「大丈夫?柚葉?こっち見なさい」
「おばさん?」
柚葉の母は気が動転しているようで永遠に気が付いていなかった。
永遠の声に視線を動かした柚葉の母は永遠の顔を見て驚いていた。
「永遠君」
その時トラックの後ろからクラクションが鳴った。
「とにかく安全なところに移動していただけますか?トラック動かしますんで」
運転手の言葉に柚葉の母は再び柚葉の頭を覆っている手を力ずくではがそうとする。
「おばさん?」
その動きを不審に思った永遠の言葉に
「この子、聞こえないのよ」
「?」
右耳が聞こえないことは知っている。永遠がよくわからない表情をすると
「両方聞こえないの。全く聞こえていないのよ。」