※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。






紳士服やネクタイショップ、食器専門店などいくつかのお店を見て回り、最終的にはのんちゃんが惹かれたように足を止めたのは雑貨屋だった。


しげしげ商品棚を見つめながら店内を一周し、それからまた入り口のところに戻ってきて、そこに置かれている数種類の小銭ポーチを前に、顎に手を当て真剣に吟味している。


やがてばっと勢いよく顔を上げ、お店の外で様子を見守っていた俺の前にふたつの小銭ポーチをかざした。


「この色とこの色、どっちがいいと思う?」


どうやら深緑とワインレッドで悩んでいる様子のはのんちゃん。

どちらもおしゃれで、はのんちゃんはセンスまでいいらしい。


「んー。どっちもいいいけど、普段遣いしやすいのはこっちかな」


俺が指さしたのは深緑の方。


「じゃあ、こっちにしよっと。お父さんのイメージにも合ってるし」