目的地であるショッピングモールは、土曜日ということもあって人で混み合っていた。
どこもかしこもクリスマス仕様に彩られていて、視界が賑やかだ。
入店するなり、入り口近くにあったアパレルショップのショーウィンドウに素早く視線を走らせるはのんちゃん。
その真剣な視線の先には、小洒落た紳士服を身に纏うマネキンがいた。
好きだなあと思う。
だれかのためにこんなにも真剣な目をするはのんちゃんのことが。
するとそんな俺の視線に気づいたのか、こちらを振り返ったはのんちゃんが、焦ったような顔をする。
「あ、ごめん。いきなり立ち止まっちゃって」
「俺のことは気にしないで。今日はプレゼントを探すために来たんだから」
「ありがと」
「誕生日プレゼントあげたら、きっと喜ばれるね」
するとはのんちゃんは、そうだといいんだけどと言って苦笑する。
俺の言葉に対して苦笑を浮かべるその隙間に、瞳に影が差したのを見逃さなかった。
「父の日と母の日、央太は保育園で作ったプレゼントあげてたのに私はなんとなくスルーしちゃったから、さすがにね、誕プレくらいはあげないとと思って」


