そして押された拍子によろけた私の体は、倒れる前に後ろからそっと肩を支えられていた。
手から滑り落ちかけたスマホもキャッチされ、パッとロック画面が明るく灯る。
「ありがとう、助けてくれて」
落ち着いた声音に顔をあげれば、イケメン(正真正銘)が私を見下ろしていた。
柔らかい印象の目元と、すっと通った鼻梁、そしてアシンメトリーの柔らかそうな髪。
イケメンを飽きるほど見てきた私でも一瞬で見惚れてしまうほどの整った顔立ちだ。
「あ、いえ……っ」
「怪我、ない?」
大丈夫──そう答えようとした時、不意に自分の体が微かに震えていることに気づいた。
そして彼がそのことに気づいたのは、多分同時だった。


