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『もう、一ヶ月ももたない』
検査の後、主治医に告げられたのは、やはり俺に残された時間についてだった。
診察室から手すりをつたって病室に戻った俺は、ベッドに体を倒す気力もなく、真っ暗な部屋の真ん中で立ち尽くした。
物心ついた頃から死は常に隣にあって、それを怖いとも思わなかった。
けれどいざその時が明確にされると、心にぽっかり穴が開いたような感覚を覚える。
……ああ、俺、死ぬんだ。
この世から、なかったことになるんだ。
得体の知れない永遠の暗闇が口をあんぐり開けて、すぐそこで俺を飲み込もうと待ち伏せている。
抵抗することもなく、俺は暗闇に身を任せようとする。
すると、その時。暗闇の中で、ベッドの上に置いていたスマホが光を放った。
靄のかかったような頭で導かれるようにスマホを手にした俺は――画面に表示された写真に目を奪われた。
『今頃はるくんが笑えていますように』とのメッセージが添えられていたのは、黄色を咲かせた大輪のひまわりの写真だった。


