「──そういえば、このクラスに転校生来るって知ってた?」
「やっぱ、その噂本当なんだ」
舞香に笑顔を返していた私は、ふと、舞香を取り囲むグループの端っこの方から聞こえてきた話に思わず飛びついた。
「え? なんの話?」
「あ、はのん、知らなかった? 転校生が来るんだって。ほら、あんなところに不自然に机がひとつ」
ユカが指差す先を視線で辿れば、昨日まではなかった場所に机が一脚置かれている。
窓際で、しかも他の列から飛び出すように下げられた一番後ろのその席は、まるで仲間はずれのように見えた。
「こんな直前までなにも知らされないもんなんだね」
「たしかに。男か女かすらも不明だしね」
そんな会話を耳にしながら、もしかしてと胸がざわつく。
はるくんのことが頭をよぎったからだ。
このタイミングということは、おそらくというか絶対はるくんだろう。


