──いない。いない……。
ユキを捜し、私は校舎の中を駆け回っていた。
いつもすぐ見つかるくせに、こういう時はどうして見つからないのよ……!
そう心の中でユキを責めながら教室の中を覗きまわり、やがて音楽室のドアを開けた時、私はその姿をようやく見つけた。
「いた……っ!」
「はのんちゃん?」
ユキは、窓際の縁に軽く腰掛け、のんきに読書をしていた。
「ねえ!」
ユキに向かって足を踏みしめながら張りあげる声が、つい荒くなる。だって。
「どうして、エンプロイドは食べ物を食べられないこと言ってくれなかったの……っ」
ユキがまた、自分の体を軽んじるようなことをするから。


