焼きたての鯛焼きが入った紙袋を持って、私たちは近くにあった公園に立ち寄った。


遊び相手のいない遊具たちはひどく寂しそうに見えた。

小学生の頃はあれほど高くそびえて見えていた鉄棒も、今では腰よりも低くなっている。


公園の外周をぐるりと囲むように植えられたたくさんの木々は、みんな丸裸になっていて寒そうだ。


公園の端にあった木製のベンチにようやく腰を落ち着けると、紙袋から買ったばかりの鯛焼きを取り出し、お腹の中心あたりで割る。

茶色いお腹から姿を現したのは、粒餡とカスタードだ。


「はのんちゃん、なにしてるの?」


不思議そうに私の行動を見つめるユキに、粒餡とカスタードで合体させて原型を取り戻した鯛焼きを渡す。


「はい、半分こ。どっちの味も食べられた方がお得でしょ。せっかくふたりなんだから」

「はんぶんこ?」

「そ。ひとつのものをふたりで分かち合うの」


鯛焼きを受け取ると、鯛焼きが珍しいのかあるいは半分こが珍しいのか、驚いたようにほかほか湯気の立つ鯛焼きを見つめているユキ。