その時突然シューッと音がしてはっと我にかえると、ピンクと黄色の火花が目に飛び込んできた。
「見て……! 綺麗……!」
それは、はのんちゃんが持つススキ花火の閃光だった。
鮮やかな火の光に照らされて、はのんちゃんが無邪気に笑っている。
――君に言わなきゃいけないことがある。
本当のことを打ち明けたら、君はどんな顔をするんだろう。
「うん、綺麗だね」
こんなにも綺麗に咲き誇る花火を、こんなにも綺麗に笑うはのんちゃんを、目に焼き付けたまま一生忘れたくないと思った。
そっと笑んで返した声は、はのんちゃんに届いただろうか。
白い煙が、目に染みる。
隣でその笑顔を守ることができたら、もうそれだけでいい。
それ以上は望まない。
だから今はせめて祈る。
〝その日〟ができるだけ今日より遠くにあるようにと、それだけを。