さっきまで窓の外から微かに漏れ聞こえていた花火の音はいつの間にか鳴り止んでいて、静寂ばかりがあたりを覆う。
こんな時に限って3連休。
火曜日まで、はのんちゃんに会えない。
「……はのんちゃん不足」
小さくつぶやいたはずが、その深刻さを表すみたいに思ったよりも大きく部屋に響く。
――腕を目に当て視界が暗くなっているせいか、スマホの着信音に気づくのも、多分いつもよりも早かった。
柾くんは夜まで仕事が入っていると言っていたし、いつもこの時間にチャットでやりとりをしているひまわりさんからの着信だろうと踏んで、枕元に手を伸ばし、空気を震わせたスマホを探る。
そしてシーツに阻まれながらようやく指先でその手触りを見つけ出し、顔の上に持ってきたディスプレイを見つめた俺は、ロック画面に表示されたメッセージに目を見張った。
『今日はごめん。本当は私も、打上花火一緒に見たかった』
メッセージの送信者は、はのんちゃんだった。
メッセージに素早く視線を走らせるなり、思わず勢いよく飛び起きる。


