やがて電話が切れてプープーと電子音が聞こえてくるだけになると、俺はスマホ手放し、白いベッドに横たわった。
彼女の手前ああ言ったけれど、仕方ないとはいえ。
「一緒に花火、見たかったな……」
ひとりの空間では、思わず本音がもれる。
いつの間にこんなに欲張りになっていたのだろう。
顔を見るだけで、あれだけ幸せだったのに。
多分、幸せなことがありすぎたから、神様が調整に入ったに違いない。
幸せに慣れてはいけない。
自分を戒めるように言い聞かせながら俺は立ち上がった。
一日スケジュールを開けていたからやることもなくなってしまった。
ひとりでいるとはのんちゃんのことばかり考えてしまいそうで、俺は〝柾くん〟のところに行くことにした。
そろそろ来るようにと言われていたからちょうどよかったのだと、そう自分を納得させて。


