そしてやってきた、次の土曜日――季節外れな花火大会の日。


『ごめん……。ほんと、ごめん』

「もう謝らないで、はのんちゃん」


申し訳なさそうに何度も謝るはのんちゃんの声がスマホの向こうから聞こえてくる。


今、はのんちゃんは隣町にいた。

今日はお父さんのケーキ屋さんが隣町で出張出店する日だったらしく、体調を崩したパートの人の代わりに、急遽はのんちゃんが助っ人に行くことになったのだ。


『でも……』

「俺なら大丈夫。仕事、頑張ってきて」


できるだけいつもどおりのトーンで、はのんちゃんが気負ってしまうような余計なものを含む余地がない口調でそう伝える。


『ありがと……』

「うん。じゃあ、また学校で」