「花火大会なんて久々かも。舞香が花火の音嫌いだからいつも行ってないけど、花火大会の空気、好きなんだよね。花火の音が聞こえて、いろんな屋台がまぶしくて、どこを見ても浴衣姿の人がいたりして」
「夏じゃないからはのんちゃんの浴衣は見れないね」
「当たり前でしょ。なに残念がってるのよ」
「はのんちゃんの浴衣姿、絶対可愛いのになと思って」
「なっ。来年の夏になれば見られるんだからいいでしょ」
俺を見上げ、照れたような怒ったような口調でそう返してくるはのんちゃん。
久しぶりに目が合った。
……はのんちゃんは、来年も俺の隣にいてくれようとしているのか。
なにも疑うことなく、純粋に、俺をはのんちゃんの未来に存在させてくれている。


