手首を縛りつける、エンプロイドである証の黒くてごつい腕輪。
そこに寄り添うように、シルバーのブレスレットが柔らかい光を放ち微笑んでいる。
「こんな高いプレゼントもらったのに、持ち合わせがなくて釣り合ってなくてごめん」
はのんちゃんが、苦笑する。
そんな目の前の彼女の笑顔が、ちかちか揺れて瞬く。
……ああ、俺は今、すごく嬉しくて感動しているんだと。
その実感は、だいぶ遅れてやってきた。
……参ったな。
こんな幸せをもらってしまうなんて。
「そんなことないよ。はのんちゃんからプレゼントしてもらえたことがなにより嬉しいし、このブレスレットもすごく気に入った。……ありがとう。大切にする」
この込み上げてくる感情をすべて言葉にして伝えたいのに、胸が満たされてしまって最後はじんわり浸るような声になってしまう。
だけどはのんちゃんは「喜んでもらえてよかった」と笑ってくれた。
俺がプレゼントをあげた時よりも、俺にプレゼントする時の方が嬉しそうに。
うぬぼれだとは分かっているけれど、その笑顔すべてで俺を大切だとそう言ってくれているみたいで、胸が柔く切なく締めつけられる。
だって、大切な人――はのんちゃんに贈り物をする時、きっと俺も同じ顔をしているのだろうなって、そんな自覚があるから。


